半年振りの訪問は、やはり間を空け過ぎた。
とっておきの、通い詰めた昭和30年代の路地風景の入口には
瀟洒なお屋敷がデンと建ち、僕にこの町の用済みを突きつけていた。
僕が生まれ育った時代の風情に憧れ通った町だったけれど
変革の流れは更に加速し、東京の木密地帯は
五輪を前にいよいよ終焉の時を迎え出したようだ。
そして、君との再会は意外な形で実現した。
「どちらさまですか?」
小首かしげて瞳で問いかける君は
すっかり可愛い猫ちゃんだ。
良かった、のだろう。
帰り道、気付くと映画「ひまわり」の
テーマソングを口ずさんでいた。