11.01.2018

そして、君は家に入った。

 
半年振りの訪問は、やはり間を空け過ぎた。
 
とっておきの、通い詰めた昭和30年代の路地風景の入口には
 
瀟洒なお屋敷がデンと建ち、僕にこの町の用済みを突きつけていた。
 
 
僕が生まれ育った時代の風情に憧れ通った町だったけれど
 
変革の流れは更に加速し、東京の木密地帯は
 
五輪を前にいよいよ終焉の時を迎え出したようだ。
 
 
そして、君との再会は意外な形で実現した。
 
「どちらさまですか?」
 
小首かしげて瞳で問いかける君は
 
すっかり可愛い猫ちゃんだ。
 
 
良かった、のだろう。
 
帰り道、気付くと映画「ひまわり」の
 
テーマソングを口ずさんでいた。
 
  
 


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